『娼年(しょうねん)』『逝年(せいねん)』に続く「娼年シリーズ」3部作の最終章。
このシリーズは全て読みました。
性に充たされない女性たちを相手にボーイズクラブ(娼婦の男性版)を経営するリョウの物語。
いわゆるエロい官能小説ではありません。
女性の数だけ性の悩みはあって、セックスを通じてそれを癒やしていく真摯なお話です。
『不幸の半分は充たされない性から生まれている。誰ともつながることができず、孤独な人生を選ぶ。多くの人がどこか暗く傷ついた顔で電車に乗るのは、心と肌をすりあわせる相手がいないからだ。』と書かれていました。
まさにそのとおりだと思う。
歳を重ねるに連れて、充たされない性、充たされないセックスはとても不幸だと考えるようになった。
生きることに直結する食欲や睡眠欲に比べれば、一見あとまわしでも問題ないような扱いを受ける性欲。
しかも、性について語るのはタブーだし下ネタで話すぐらい。どこか真剣に話す空気がないよね。
でも、性欲、セックスが充たされればとても充実した人生が送れるはず。
ただ、「やりたい」「気持ちいい」という欲望だけではないセックス。
それは、心と肌をすりあわせる相手とのセックス。
これこそしあわせな人生に必要なものじゃないかな。
性については誰も教えてくれないし、何が正解かもわからない。
そもそも正解なんてないか。
正解がないからこそ、だれかと話す場がなければ独りで思い悩むことも多いんじゃないかな。
自分は変なんじゃないかとかこんなこと考える自分はなんていやらしいんだろうって。
でも、そんなことないよ。
もっとまじめに性について話せる場があればいいよね。
自分から話すのに抵抗があるなら、人の話を聞く場とかね。
印象に残るセリフがあった
「セックスの失敗はセックスでしか取り戻せない」
若けりゃいろいろあるじゃないですか?
あー、あのときの失敗、とりもどせないかなあって思いながら読み終えました(笑)
充たされたセックスのある人生を送りたい。
集英社 (2011-05-20)
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